スポーツメンタルコーチング

「スポーツメンタルコーチング」

柘植洋一郎

 

スキル

1.   積極的に引き出す

2.   3種類の選手との関わり方

①選手と相対する 

②選手と同じ方向を見る選手の見ているものや 感じてるものを一緒になって 探索する関係 選手の立場で考える

③選手のことも自分自身も 俯瞰できる選手目線からのヒントと指導者自身の知識 経験 考えを使って解決方法を見つける

3.    効果的な質問と伝え方

①具体的には

どんなことが起きていたの?

具体的にもう少し教えて?

②他には

他に起きていたことはある?

③一通り 話が聞けたら、それでどうなったらいいと思う?どんなことができそう?

④どうしてそう思ったの?

⑤yes andの姿勢で、

そうなんだ それも一理あるね。そして私のアイディアとしては 、〇〇も試してみたいと思うんだけどどう?

4.   スケーリング

主観や抽象的なものを数値化する

充実感、自信、恐怖心、 喜び、 怒りや どれくらいできそうか、 痛みなどの感情や考え、 身体感覚について 数値化してもらう。 コーチが訂正を入れてはいけない。

(スコアリング?)

5.   付箋や紙に書き出す〜見える化する〜

気になってることを全部書き出す

項目ごとに分けてグルーピング

優先順位をつけて 順番を入れ替え

関係性を表現できるよう配置を入れ替え

時系列に並べ直す 頭の中がすっきりする

6.     俯瞰〜第三者の目で見る〜 

 

成長サイクルを回せない 原因

①自己効力感が低い

②モチベーションが低い

③気になっていることがある

④やらなければならないことが多すぎる

自己効力感とは

「自分はできる気がする」「 チャレンジしてみたい,やってもいいんだ」という 前向きな気持ちのこと。

目標などの対象に向かっていく気持ち。 「県大会で優勝を目指す」という目標に対して「向かっていこうという気持ち」を表す。 そのため あまりにも高すぎる目標を設定してしまうと「自分には無理かも..」といったように、自己効力感が上がらないこともあり得る。

自己肯定感は自己効力感 よりも 根底にある「自分はこれでいいんだ」という気持ちであり 自分が存在してる 意味 という哲学的で深い意味になる。

モチベーションは「ワクワクする」「やる気に火がつく 」「チャレンジや探求したくなる気持ち」

人によって異なる価値観に基づいている。例えば,「 前回 悔しい気持ちを思いをしたから次は絶対に良い成績を残したい」といったことや「本当に好きでたまらないからもっと練習したい」など。

自己効力感を上げる5つの要素

①自分の過去の達成 体験

②誰かの代理 体験( 近い 共有の選手の 達成 体験)

③言語的な説得 (信頼できる人からの説明や勇気づけ)

④気分の高揚 (一時的な身体的高揚)

⑤イメージ ( 想像的体験 )

 

①自分の達成体験

「100メートルを13秒で走れた」「高校でレギュラーになれなかったけれど, 3年間誰よりも早く グランドに行き 1日も休まなかった」など 過去の成果だけでなく チャレンジしてきたことも達成 体験。

②誰かの代理 体験

以前は人間は100m 走 で10秒 切れないと言われていた。ところが 誰かが10秒 切った途端に 9秒台のタイムを出す 選手が次々と出てきた。 これは「彼ができたんだから 俺にもできるはずだ 」「きっと私 ならやれるはずだ」という気持ちが自己効力感を上げたから。

④気分の高揚

声を出したり 、リズムよく体を動かしたり 、音楽を聴いたり、ハイな状態になる言葉や イメージを描いたり。

⑤イメージ

実現したいシーンをリアルに想像する。 一度イメージしただけでは 効果薄いかもしれないが,10回20回と繰り返し できる気がすると思えるまで続ける。

モチベーションを上げるために 

ポイント

1.目標設定

2.その先の出来事

3.そこに至るまでの道のり

●目標設定

単なる結果やタイムなどの数値をいきなり 目標にするのではなく、「その大会で後半の何分に得意のドリブル突破から得点をしたい」「技の完成度を磨いて観客を沸かせたい」と言ったように ,パフォーマンスやシーンを特定してイメージを作る。

その上で 結果や 数値の目標を立てられると理想的。「結果目標」「 パフォーマンス 目標」という表現を使うこともある。

●その先の出来事

実際に目標を達成実現した後にどんなことが起きるのかを想像することで モチベーション上げることができる。 「次の試合で結果を出せたら世界に挑戦したい」「こんな結果が出たら その先にこんな可能性があるんじゃないか」少し先の未来や 遠い先の未来を明確に イメージすることが 選手の意欲につながる。

●道のり

いくら 大会や試合に向けて モチベーションが上がったとしても、日々の練習にワクワクすることや 楽しいことがなければ モチベーションの持続が難しい 。「大会までの過程にこだわりの技をもっと探求しておきたい」「 要所要所でライバルと一緒に練習できる日を設定しよう」といった要素を入れておくこと。

また、これらを一度確認しただけで終わらせてしまうと、日々の きつい練習の中で忘れてしまいがち。

定期的な確認日を設定するなどして 仕組み化 して、「 自分はこんなパフォーマンスがしたくてやっているんだ 」「のぞみ通りのパフォーマンスができたらこんな未来が待っているんだ」 「自分らしい こだわりはワクワクするポイントはこれだった」など、なんのためにやっているのかということを思い返せる機会をしつこいくらいに設けておきましょう。

目標設定し パフォーマンス や シーンをイメージする。 そこから さらに思い描いたことを実現している自分がどんな自分なのかをイメージして具体化する。

その時の自分は、どんな技を持っていて、どんな体をしていて、どんなメンタルで、どんな自分だったら本当に実現できるのか といった具合に。

モチベーションが高まると同時に、どんな自分が必要なのか、今とイメージした自分とのギャップはどのくらいなのか、 日々の練習でどのような取り組みが必要か、 どのタイミングでどのぐらいの練習すれば良いか、といった練習内容やプランニングにも落とし込みやすくなる 。

その結果 日々の練習への取り組み方も変わる。 きつい練習が未来の自分が得たいものと直結して捉えられるようになる。

●他のことが気になってモチベーションが上がらない時

本来は これがやりたいはずなのに他のことが気になって仕方がないという状態。

学生であれば 学業や進路について悩んでいる。

プロのアスリートであれば家族との関係や 引退後のセカンドキャリアなどが気になってモチベーション下げている場合もある。

競技に集中できるようにするためにも、競技以外の悩み の要因を考え、 整理することが重要。

●多くの やらなければならないことがある場合

まず 全てのやらなければならないことを付箋に書き出して見える化をする。 1枚につき1つのことだけを書く。

そしていつまでにやるのか、どれくらいの時間をかけるのか といった時間軸に当てはめて スケジュール化する。

なお、モチベーションを維持するためには 気分転換 息抜きやオフも大事。

その場合、単に 息抜きとしてや オフを入れるのではなく オフが終わってチームに合流した時に「どんな気持ちで戻ってきたいか」「どんな自分でいたいのか」 将来から逆算し イメージしながら、気分転換や休暇の内容、 方法を決め オフに入るようにしましょう。

●モチベーションを上げるスキル

1 成功体験を ありありと 思い出す 〜成功体験にはヒントが詰まっている〜

体の感覚はどうだったか、 周りはどんな風に見えていたか、どんな音が聞こえていたか 、その時に考えていたことは何か、 どんなことを思っていたか、 その前後には何が起きていたか 、さらに自分の行動や思考、感情、 身体感覚や技、 戦術や大事にしていた思い、 信念、 どんな自分としてそこにいたのかなどの特徴や パターン、 事前準備や試合前の体と心の状態を思い出す。そして今の目標に向けて 活かせることがないかを探す。

2.モチベーションを引き出す方法  〜過去·現在·未来にモチベーションのヒントがある〜

目指す目標が自分にとってやりがいがあり、 ワクワクするものであれば自然とモチベーションが上がる。 この自分らしい目標を見つけるにはコツがある。

それは一度 過去を振り返ってみること。 始めたきっかけ、 わくわくしたシーン、嬉しかったシーン 、悔しかったシーン、 うまくいったこと 、うまくいかなかったことなど 、自分の感情が振れた出来事や転機になったことを思い出していく。

マイナスの感情に触れたシーンは 「じゃあ 本当はどうしたかったの?」と考えることで 価値観を見つけられる場合がある。

どうして嬉しかったのか、 どうして悔しかったのか といった理由も探してみましょう。そうすることで 理由やこだわりなどの価値観が見つかる。

それができたら 今度は未来に起こるシーンを想像する。

未来を想像しながら自分の感情を味わう。

次に未来の場面から振り返るようにして現在の自分を見つめる。 自分が次に目指すことや目標を見つける。

【やり方】まずは紙に1つずつ 過去の価値観 、現在の目標 、将来の自分といった キーワードをか書き、床に並べる 。

手前が 過去 、先が未来と言ったように時系列に沿っておくようにしましょう。 過去や 現在 、未来 の位置を行ったり来たりしながら 達成したいことや 理想の人生に思いを巡らす。

具体的に目指す目標が出てきたらいつでも思い出せるようにしましょう。

おすすめは キーワード化したり手紙に手帳に書いたり 壁に貼ったりすること。 こうしておくと自然に目が留まるため、 すぐに思い出すことができる。

3. 目標設定とプランニング  〜シーンを描き ワクワク感 と リアル感を両立〜

うまくいっているシーンを想像してワクワクして、それを実現するための現実的なプランを策定。必要な項目を紙に書き出し 優先順位や 時系列に沿って並べていく。

●コントロール できることと コントロールできないことを分けて考える

例えば スノーボード選手の場合、試合当日の有機質は コントロールできないがどのワックスを選択するかといったコントロールはできる。

そうやって分けて考えることによって コントロール できることに意識を向けられ必要な対処がしやすくなる。 コントロールできないことに意識が取られ 悩み続ける よりよっぽど 効果的。

●△△しない→○○するに変換

意識しないと思っていても すでに△△を意識してしまっている。

例えば 「緊張しない」と考えた場合は緊張に一旦 意識が向いてしまう。 緊張しないためには 「得意技のことを考える」など緊張 以外のことに意識を向ける工夫が必要。

 

●振り返る

それぞれのプロセスに対して良かったことは何か 、良くなかったことは何か 、どうすればもっと良くなったのかを振り返る

 

●チーム

ミーティングは「楽しく、真剣に」

深刻になりすぎてもいけないし ふざけ合って 茶化し合うのも良くない。

お互いをリスペクトし合う 。 相手を認める。一体感を作る。

●チーム作りのスキル

1.  楽しく 真剣な場を作るテクニック 〜いいね、拍手〜

ミーティング時に誰かが 発言しても、聞いてる人たちから何も反応がないと発言した人はどう感じるでしょうか? 発言したこと自体を後悔するかもしれません。 自分の発言がチームに貢献してるとも思えないでしょう。

そこで取り入れてもらいたいのが、誰かの発言に対して みんなで「いいね」と声を出し 「拍手」をすること。

発言の内容に関わらず 発言したことに対してまず 拍手でしっかり 反応する。 拍手されて嫌な気分になる人はいない。 自分が役に立てたと思える。

勇気を出して話した時に「いいね 」「話してくれてありがとう」と伝えることで自分の居場所ができる。 人は無視されることが一番辛い生き物。

こうした積み重ねによって「目的に向かって協力しながら自分たちで何かを作り出そう」といった一体感が生まれやすくなる。

2.  ダメ出し からリクエストへ

「何で できないんだ」ではなく

何を目指してるのかという目的はや目標の確認をしてから

「そのために どうしたらいいか 」「じゃあどうすればできるようになるか」を一緒に考えましょう。

また、意見や要望があればダメ出しをするのではなく リクエストをしっかり伝える。 「 私はこうしたらいいと思うけど 試してみないか」「チームが になったらいいと思う お前にも是非協力してほしい そのために何ができるか一緒に考えてもらえないか。」

3.   コントロールできるものにフォーカスする

「結果」は完全にコントロールすることはできない。 ただし 自らのパフォーマンスによって何かしらの影響を与えることができる 。ですから望んだ結果を手に入れるためには自分たちにコントロール できることにフォーカスし、それを具体的なアクションにつなげることが重要。

私たちは声を出したり体を動かすことで気分を変えることができ 、それが パフォーマンスにも影響する。

例えば気分が沈んでいる場合 ランニングなどで体を動かしてるうちに気持ちが晴れ晴れと切り替わったり、 緊張していた場面で大声で気合を入れることで前向きな気持ちになれる。

「雰囲気」は直接コントロールできないが、 自分の言葉遣いや表情、 態度は コントロールできる。

仲間の気持ちは 直接 コントロールできないかもしれないが、 感謝の気持ちを伝えたり、 お互いに拍手し合ったりアプローチできる方法はいくらでもある。

結果は コントロールできないが、 自分たちの練習への取り組みやミーティング方法は コントロールできる。

全員で協力しながら「自分たちに何ができるのか」「 目標の実現のために コントロール できることにフォーカスするとしたら?」といった意識でアイデア や意見を出し合う。

●指導者自身のセルフコーチン

5つのポイント

①専門知識・専門スキル

②コミュニケーションスキル

・自分の意見を的確に伝えるスキル

・選手たちのニーズを引き出すためのスキル

・場や 空気感を作るスキル

③可能性を信じる気持ち

あなたは選手の可能性を信じきっているでしょうか?どこかで無理だと思っていると雰囲気で選手に伝わる。

④人生全体を応援する気持ち

試合の結果がどうであれ 選手の人生そのものを応援する気持ちを持っているでしょうか ?パフォーマンス や結果へのこだわりはもちろん大切。 それ以上に 「どんな結果でもあなたの人生は素晴らしい」「 あなたの人生を心から応援しているよ」という気持ちを持っている?

⑤指導者自身の軸と心身のケア

指導者は日々 様々な判断をしなければならない 。そのような時に自分の軸(信念)が指標となってくれる。 指導者のブレない軸は選手たちが迷わず安心して取り組む姿勢につながる。

また選手たちも 指導者の軸を敏感察している。 「何を大事にしてこのチームを作りたいのか」「 どんな指導者になりたいのか」「 選手とどう関わりたいのか 」「そもそも自分はどんな人生を生きたいのか」

5年 10年先のありたい姿や実現したら嬉しい場面を想像してみましょう。

また、指導者自身が心身ともに良い状態でいると 選手たちにも良い影響を与える。 そのために自分自身のケアや休息が必要になる。

●エピソード

弱気になってる選手に対して

「一睡 もできてないとか、熱があるとか関係ない」

「苦手なコースだとか、 雨が降ってるとか関係ない」

「未来を今日この瞬間から作ろうよ」

「今この瞬間から未来が始まるんだから」